名古屋マリオットホテルにチェックインし、部屋を見る暇もなく夕食の予約を入れておいた日本料理「華雲」(かうん)に急いで出向きました。↓
↑ホテル内なのに、どこか情緒ある町並みの路地裏に入っていくような世界観が構築されています!
異世界感が素敵
入り口に立っていた店員さんに予約してあった者であることを告げ、席まで案内していただきます。↓
↑オホホー! なんだか、外を歩いているみたい。昔の建物を移築して展示してある資料館のような雰囲気でもあります。超近代的なマリオットアソシアホテル内なのに、ここだけは純和風で、異世界感がすごい!
↑石畳の通路を右に曲がると、窓際にテーブルが並んでおり、そこで食事しているお客さんの姿が見えました。私たちもそのテーブルのどこかに案内されるのだろうと思っていると、店員さんは逆方向の引き戸を開けました。
個室
↑なんとっ。私たちが案内されたのは個室でした。
予約時に、母の定年退職祝いであることを伝えたために、お店側が気を利かせて個室を用意してくださったようでした。
なんとも! 個室にしていただけるとは思ってもいなかったのでびっくり&嬉しい!
↑「寿」の箸袋。布ナプキンも華やかに折られています。
……高級な店であることはわかっていたけれど、なんだか思った以上にかしこまっているな。御垣内特別参拝のためスーツを最初から着てきていて、動きにくいのが旅に不向きと思っていたけれど、スーツを着ていて良かった……。
奮発して一万円の会席
メニューを渡され、料理を注文します。
「華雲」は、ディナーにおいて一番金額が低いのが「松花堂弁当」の6000円という超強気価格の店。
それだけの値段設定の店ならば、美味しい料理を出すのだろう(実際、食べログの評価もかなり良い感じだし)。
だったら、旅の思い出に、せっかくだから奮発して会席料理を頼んじゃおう!
ということで、「一品の量は少量にして、丁寧に仕上げた12品程のお料理」が食べられるという「味心(あじごころ)」(一万円!)を注文することにしました。
↑お品書き。
先付~ダシが美味しい
↑さあ! 早速やってきました。先付の「琥珀養老寒」と「前菜盛り合わせ」です。
「琥珀養老寒」とは「海老(養老)の寒天巻き」のこと。「前菜盛り合わせ」は「もずく酢」「伊達巻き」「白芋茎(ずいき)の梅肉ソース」。
まずこちらを食べてみて目を見張りました。↓
↑「白芋茎(ずいき)の梅肉ソース」。冷たいだし汁にシャキシャキの白芋茎が浸してあるのですが、この「だし汁」が濃くて美味しい!
基本の「だし汁」が美味しいということは、すべてが美味しいのだろう。
この時点で、ちょっとホッとしました。
吸い物
↑吸い物は、「梅椀仕立て」。冬瓜が敷いてあり、そこに焼き鱧(はも)と、上にちょこんと梅肉ソース。
鱧の焼き目が香ばしくて、今までにない吸い物の味わいです。(ちなみに、この吸い物が配膳されたとき、店員さんが「焼き鱧(はも)が入っています」とおっしゃったのですが、それが「焼き蛤(はま)」に聞こえ、「え~っ、焼き蛤だって、桑名の蛤かな、食べたいと思っていたんだよね、嬉しいね」と母としばし勘違いの喜びに浸りました。)
お造り
↑造りは「平目一点盛り」。その名の通り「平目だけ」なのですが、この平目、コリコリしていて美味しかった!
小茶碗
↑小茶碗は「甘鯛石切蒸し」。ふんわりした白い衣の中に、ほくほくの甘鯛が隠れています。
凌ぎ
↑凌ぎは「穴子木ノ芽寿司」。写真ではわかりにくいですが、こちら、母と、「ジェニー(人形)のご飯みたいだね」と言って笑ってしまったくらい、こぢんまりしています。
普通の寿司の一貫より小さい。本当に一口サイズ。でも、この一口に旨味が凝縮されていました!
穴子に臭みがなくて、のせられた木ノ芽がスーッと爽やかで。質が良いから、小さくても満足度が高いです。
蕎麦
↑合肴の「こそば」。こちら、盛りつけがとっても美しい~!
器に氷が敷き詰めてあり、そこに巻きすが斜めに置かれ、端にそばがちょこん。女性の心をくすぐります!
そしてこのお蕎麦、もっちりして美味しかったので、どんな蕎麦粉を使っているのか店員さんに伺ったところ、なんと、新潟県妙高市にある名店「こそば亭」の蕎麦に料理長が惚れ込み、取り寄せて使っているとのこと。
滅多に食べられない貴重な蕎麦をいただけて嬉しかったです! でも、こちらから聞かない限りその情報は伏せられているのがもったいないと思いました。お品書きにでも書くか、配膳の際に説明があったら良いのにと思います。
焼物
↑焼物は「鱸(すずき)青納豆焼き」。
青納豆とはオクラのこと。ふっくら焼かれたスズキに、ネバネバ、ふんわり、ちょっとピリ辛風味のオクラソースがかかっています。添えられているのはかぼちゃの漬物のようなもの。梅肉がのっています。ここのお店は梅肉が好きなのかな?
揚げ物
↑揚物は「鱧(はも)木ノ芽白仙揚げ」。
天つゆなどはなく、添えられたすだちをしぼり、さっぱりといただきます。
口に入れると、熱々、サックサク! 軽く振られた塩と香ばしい油の風味。鱧もふわふわです。
吸い物の「焼き鱧」に引き続き、「鱧の白仙揚げ」。なんだか、「鱧」という魚を味わい尽くしている感じです! 鱧って、日本料理のきちんとした店でしか出てこない印象があるので、これだけ様々な調理法で味わえて嬉しい!
留肴
↑留肴の「白芋茎(ずいき)梅霙(みぞれ)和合(あえ)」。酢の物のような感じで、大根おろしがかけてあり、さっぱりシャキシャキ美味しいです。
この白芋茎(ずいき)って、私が住む北海道では売っているのを見たことがないのですが、「クセのないウド」のような食感が良いですね。
腹三分目で不安
それにしても……。
私は、この会席がもう最終盤に差し掛かっているという事実に危機感を覚えていました。
まったくお腹が満たないのです!!
「留肴」を食べ終えた時点で腹三分目くらい。
これから、ご飯や味噌汁が出てくるのがわかっていますが、それで、どのくらいお腹が満たせるのか!! ……不安なところです。
ご飯、味噌汁
↑食事+留椀+香の物盛り合わせ。
食事は「新生姜御飯」。梅の赤いパウダーがかかっています。ご飯全体にもうっすらとした塩味。
お米が美味しくて、どこのお米か伺ったところ、なんとかの有名な魚沼産コシヒカリだそうで!
……その情報も、こちらから聞かない限り伏せられているのは惜しいです。そういうところにお金がかかっているんだなとわかった方が、こちらとしても一万円も払うことに対する納得がいくというものです。
香の物は自家製なのだそうで、白菜の漬物と柴漬けでした。木ノ芽が爽やかです。
↑留椀の赤だし。具は、三つ葉と板麩。ホッとします。美味しいです。
まだ腹五分目
さあ……。よく噛むことで満腹感を高めようと努力はしたものの、デザート前の段階で腹は五分目!
できれば腹八分目以上になって店を出たかったのですが、デザート前で腹五分目であれば、最後に腹八分目までいくことは難しいでしょう。
まあ、いいか。スッキリした胃袋で明日の朝食が美味しく食べられるんだと気持ちを切り替えることにしました。
デザートが豪華
さあ、次は最後、水物の「季節の果物」……。↓
↑……と思ったら、あら? 果物の皿の隣に、美味しそうな和菓子!
↑自家製の抹茶わらび餅だそうで、黒蜜も添えられていました。とっても柔らかくて、甘さ控えめで美味しい~!
「わらび餅」というのを生まれて初めて食べたという母も感激していました。
お品書きには「季節の果物」としかなかったところに、わらび餅がつくなんて嬉しいサプライズです!
↑果物は、パイナップルとさくらんぼ。こちらもジューシーで美味しかったですよ!
最後は腹七分目
こうして、約一時間半の会席は終了。
最後の甘味が効いて、最終的に腹は七分目にはなりました。満腹ではないけれど、お腹が空いたというほどでもないというレベルです。
でも全体的にはとっても満足しました!
お人形さんのご飯のような、小さく可愛らしく芸術的に盛りつけられた美味しい料理を、ちょこまかと種々いただけて。
食材の質にもこだわりが感じられ(新潟「こそば亭」の蕎麦や、魚沼県産コシヒカリ等)、値段に見合う内容だと感じられました。
説明があれば尚良し
ただ、たとえばフランス料理のレストラン等では、配膳の際に細かく「こちらは○○産のきのこを使用したスープです」など説明があって「へえ~」なんてありがたがりながら食べるのが楽しかったりするのですが、こちらの華雲ではせっかくの良い食材もまったく説明がないのでそこがもったいないと思いました。
食材の説明などするのは奥ゆかしくない……というような伝統が日本料理にはあるのだろうか? 説明の無い中で、良いものだと感じろ! という精神性の高さを要求される世界なのかもしれない。けれど、客としては、やっぱりそういうの、知りたいです。
せめて、主要なものは、聞けばサッと答えていただける態勢をとっておいてもらえるとありがたいかなと思います。今回、食材の出自を伺うたびに、店員さんはお待ち下さいと一度部屋を出て行かれ、調べに行っているようだったので……。
でも、一泊目の夕食を「華雲」に決めて良かった! これは、母と共通の意見です。
またいつか、機会があれば、ランチなんかも食べてみたいな……。
それでは部屋に戻り、ちょっとのんびり……している暇もないかな?(→名古屋マリオットアソシアの部屋レビューに続く)